「パターソン」

主人公の夫婦を始め、人の会話はほぼいつも二人で行われる。内向的な夫と活動的な妻の会話は、映画の始まりから終わりまでまったく噛み合っていないが、互いに相手を想っていることは物語のなかで控えめに示される。

主人公がスマートフォンを持っていないという設定で、開始からしばらくの間はデジタル機器が登場しないので、時代設定がわからなかった。登場人物の服装も、街並みも、時代を示すものがはっきりと写っていない。現代を描いたものかもしれないし、もしかすると90年代前半くらいなのかもしれない。そう思いながら映画を見る感覚が面白かった(見直してみると、会話の中にSNSや動画サイトという言葉が出てきていた。また、車に詳しい人は年代がすぐわかるかもしれない)。

ある一週間の話で、月曜から金曜まで、主人公は同じように朝起きて、出勤し、バスを運転し、家路につき、夜は犬の散歩の途中でバーに立ち寄る。同じ行為が何度も繰り返される映画だ。それでも飽きずに見れるのは、ショットの良さと、地味さと間の抜けた感じが絶妙な、しかし面白い登場人物たちの会話のせいだろう。

2018.10.25

いつからなのかはっきりとわからないが、自分は少しずつ神経質になっていって、特に音に過敏になっている。苦にならない日や時はあるのだが、最近はそれが進行して、オフィスにいるのがかなりきつくなった。前職でもそうだったが、電話のコール音がとにかく苦手になった。自分の机の電話が鳴ると、心臓をわしづかみにされているような、寿命を数ミリずつ削り取られてるような、そんな感覚がある。また、同僚たちの話し声も、同じように気になってしまって目の前の作業に集中できないことがある。もうこの体質は治らないのかもしれない。受け入れられるかわからないが、在宅勤務にしてほしいと、上司に言うしかないと思っている。

2018.10.23

もう歯を磨いて寝る時間なのが信じられない。忙しいのが嫌いで一人でいるのが好きだった自分が、毎日誰かと連絡を取る日々が続いている。人と連絡を取らないことをさびしいと思うようになった。何の予定もない週末を何ヶ月続けても平気で、それに自由さを感じていたのが嘘のように、予定がないことに少し不安を感じるようになった。それが良いことなのかどうかはわからない。単純にそれを良いことだと言うのは、少し違う気がしている。ただ自分に変化が起きているという事実があるだけだと思うようにしている。

 

2018.10.18

いつも女性のことを考えている。考えていない時間などあるんだろうか、というぐらい、頭の中が女で占められている。いちばん考えるのは、この夏にフラれた人のことだが、それ以外でも会社の同僚、先輩、道や駅ですれ違う人、電車で同じ車両にいる人、通っているクリニックの受付の人など、自分の視界と意識の中にいる女すべてを気にしている。世の女たちの自分への態度に、一喜一憂している。ここから自由になれることなどあるんだろうか。自分の行動のすべてが、女から好かれたい、支持されたいというモチベーションによっている気がする。

2018.10.14

上野にマルセル・デュシャン展を見に行く。デュシャン自体は、よくわからなかった。作品的には、キュビズム時代のものがいちばん身に迫るものがあって良かったと思う。その後のレディメイドというものは、友人が言っていたからそう感じるものかもしれないが、文脈的として味わうものなのかもしれない。ただ、台座に車輪が乗っている作品はちょっとクールだと思った。

東京V vs C大阪 2015.3.8

J2リーグ開幕戦。味の素スタジアムで観戦。

C大阪は、前線に新戦力が並ぶ。玉田、パブロ、関口。

シーズンが始まったばかりだからか、あるいは今日のスタメンは初めての組み合わせなのか、攻撃に関しては整備された戦術がなく、個人のクオリティーで勝負していたと思う。

関口は、守備の際は前線の4人のうちでもっとも勢いのあるプレスを見せ、後半途中で交代するまでそれが続いていた。また、意外に攻撃では組み立ての部分でボールを触ることが多かった。

センターバックの山下の空中戦の強さは圧倒的で、たぶん一度も負けず、自分のところに来た高いボールはすべてはね返していた。

フォルランは開始当初、走らずボールも収められず、ほとんど仕事をしていなかったが、前半途中からは頻繁に相手DFラインと駆け引きをしてボールをもらい、ロングフィードを完璧にトラップしてGKと1対1になった場面が1度あった(シュートは止められた)。

セレッソに香川や乾、家長がいたころの、短いダイレクトパスとドリブルで中央突破していくスタイルが自分は好きだったが、いまはもう完全に別のチームとなっている。後は、リスタートでトリックプレーを2、3度使っていた。

ヴェルディ杉本竜士は残り時間5分で交代出場した。前に1度見たときと同じく、チェイスとドリブルの速さ、小さいのに球際の強さが目立ち、左サイドでセレッソの酒本が振り回されていて、酒本は椋原と交代させられたが、おそらく杉本対策だったのだろう。

湘南vs浦和 2015.3.7

2015年Jリーグ開幕戦。BSにて観戦。

湘南は、ディフェンスラインを自陣の真ん中よりやや前に設定しつつ、相手の動きに合わせて調整する。ボールを奪ったら、5人前後が全力でダッシュを開始し、カウンターに入る。ドリブルはせず、ダイレクトパスをつなぐ。前半で1本、カウンターで浦和を完全に崩し、キーパーもつり出したが、最後のシュートを相手DFに当ててしまった。ただ一度相手に守りを固められると、クロスやラストパスの精度が低く、あまり打つ手がなかった。

浦和は、柏木が不在。怪我かどうかは聞き逃した。ボールを持つ時間は長かったが、どういう攻めをしたいのか、よくわからない感じだった。意外にロングボールを使っていた印象があった。前半は湘南のデフィエンスが効いていて、自由なプレーはほとんどできず、かつ先制されたが、セットプレー一発で同点にする。前半は宇賀神、後半は高木俊幸が担当したセットプレーのキックの精度は高く、その点は湘南とのあいだでだいぶ差があった。高木は後半開始から登場し、早い時間で流れのなかでシュートを2本打ち、その後フリーキックを1本バーに当てた。彼のシュートはボールスピードがかなり速い。また、ドリブル時の背筋の伸びた姿勢が格好よい。ついでに顔も良い。